「か……香苗」
ドキドキが止まらなかった。
だけどそれは隣に座っている香苗も同じようで、それから式が終わるまでをつつがなく過ごしはしたものの、ホテルの部屋に戻った俺たちはしばらく言葉を交わすこともできなかった。
「あ、あの……アキラ、さん」
「ひゃいっ!」
結局、先に声を掛けてきたのは香苗の方だった。
相変わらず白い肌をうっすらと朱に染め、わずかに目を潤ませているところが最高にエロい……下半身に熱が集まっていくのを感じながら、俺は情けなくひっくり返った声を出した。
「お風呂、入ってきますね……」
「う、うん。終わったら、俺も入る……」
兄貴達からは、一週間の休暇を言い渡された。
普段忙しいのだから、この際にゆっくり休めてと言われているのだが、三ヶ月後には更に新婚旅行があるのだ。
会社に戻ろうかと提案したところ、サトル兄さんに肩を組まれてニヤニヤ笑われた。曰く、
「新妻としっぽり決め込むんならそれくらいの時間は必要だろ?」
とのことだ。
ちなみにコウスケ兄さんに至っては、結婚して二月の間毎日玲子義姉さんを抱き潰していたというからもうなにも言えない。この辺りは俺達も、あのクソ親父の血が流れているというのを否定できなかった。
「お風呂、上がりました……アキラさんのタオル、ご用意しておきましたから」
「あ、ありがとう。その……座って、待ってて」
そんなことを考えている間に、香苗が風呂から戻ってきた。
濡れたブラウンの髪の毛はしっとりしていて、バスローブに身を包んだ体からはほんのりと湯気が立っているようだ。
下着を着けていないのか、普段拘束されているおっぱいが、彼女が歩くたびにたゆんたゆんと揺れる。
「……お待ち、してますね?」
ベッドに腰掛けた香苗は、小首を傾げて俺に笑いかける。
くそ、限界だ――バスルームに逃げ込んだ俺は慌てて服を脱ぎ払うと、既に反り立っている自分のペニスを見て溜息を吐いた。
あんな可愛いところを見せられて、正気でいられるわけがない。
でも、これから彼女を抱くというのに、こんなところでヌくという選択肢は俺にはなかった。
(これで俺も晴れて、素人童貞卒業――いや、妻だし、香苗俺の嫁だからっ!)
実は香苗と出会って、風俗に通うのもやめた。
彼女に不誠実だと思ったし、なにより彼女以外でそういうことをする気が起きなかったのだ。だから結局、本当にギリギリまで脱素人童貞ということにはならなかったのだが……今は、別にこれでもいいと思う。
(今日、この瞬間のためだもんな……よし、いくぞ……)
念入りに体を洗い、香苗が着ていた物と同じバスローブを着てから浴室を出る。
すると、先ほどと同じくベッドに腰掛けた香苗が、顔を真っ赤にして俺の方を見つめていた。
「香苗……顔、真っ赤だぞ。なに考えてたんだよ……」
「ぁ……それ、は……」
ベッドに、座る。
ミシッと少しだけ音を立てたそこはふわふわで、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
石鹸のいい匂いがする香苗にぐっと顔を寄せ、ぷるぷるの唇にゆっくりと吸いついた。
「んっ……んちゅ、は、……ちゅ、んちゅぅっ……」
ぽってりとした唇を食み、にゅるっと舌を突き出すと、彼女の舌がそれを受け取ってくれた。
歯列をなぞりあいながら絡まる柔らかな舌と、熱い唾液の感覚に、目がチカチカする。
「ぁんっ、ぅ、ちゅぅぅっ……んはぁっ、ア、アキラさん……」
唇を離すと、彼女のそこは唾液で怪しくぬめり輝いていた。
俺はジュルッと音を立てて自分の口にたまっていた唾液を飲み干し、ふっくらとした胸を包むバスローブに手を伸ばす。
「ぁあっ……」
「はー……香苗、綺麗だ……」
まろみを帯びた、香苗の体。
ほっそりとした腰と対照的に、胸だけは大きく張り詰めている。
そしてその先端を彩る乳首はほの赤い色で、いじらしくツンと上を向いているのがなによりかわいい。
「はは……乳首勃ってんじゃん……香苗も期待してたんだな……」
「だ、だってぇ……アキラさん、ずっとわたしのおっぱい見てるから……きょ、今日はたくさん、触っていただけるのかなって……」
さりげなく視線をそっちに向けていたつもりが、香苗にはバレバレだったらしい。
俺は少し恥ずかしくなりながら、可愛らしく主張をしている若蕾をキュキュッとつまんだ。
「あ、ぁあんっっ! ぁ、はぁぁっ、やぁっ」
「うわ、おっぱいめっちゃ熱い……香苗は乳首が敏感なのか?」
「ちが、ぁ、ァンっ! んひっ、ァ、あ……」
コリュッ、コリュッと両方の乳首を捏ね回すと、香苗は身もだえしながら呼吸を荒げ始めた。
もしかして、外の誰かにこういうことをされたことがあるのだろうか――あまりの感じっぷりにそんな不安が頭をよぎったが、それも次の瞬間にはパッと吹き飛んでいってしまう。
「だ、ってぇ……じ、自分でするより、アキラさんのが……っ、ァ、はぅぅっ」
「え、なに? 自分でしてた? 牧野不動産のご令嬢が、自分で乳首イジってたの?」
「ご、ごめんなひゃ、ァ……っ! でもっ、あ、アキラさんが、いっつもわたしのおっぱい……おっぱいみてるからっ……」
少しだけ強めに、ギュッと乳蕾をつねってみる。
すると、彼女の体がビクビクビクッと跳ねた。
「ひゃんんっ!」
「痛かったか? ごめんな……でも、香苗がこんなにおっぱいで感じちゃう子だなんて思わなかったんだよ」
「ぁううっ……ァ、んっ……アキラさんに、さ、触られたくて……こうやって乳首グリグリされたくて、でも、ひ、一人じゃ上手にできなかったの……」
丸い目に涙をいっぱい溜めて顔を赤らめる香苗は、自分から身を乗り出すと、俺の首筋に頬ずりをしてきた。
「ずっと、ずーっとアキラさんと……こうしたかったのぉ……え、えっちなこと、考えてごめんなさい……」
今にも泣き出してしまうんじゃないかというくらい細くなってしまう声に、俺は香苗の胸から手を離し、その体をギュッと強く抱きしめた。
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